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【原著】
初診時CT検査が不可能だった大量腹水を伴った巨大子宮肉腫の1例
内山 心美, 花澤 司, 安藤 智, 岡村 栄子, 濱田 貴, 藤川 浩, 齋藤 裕, 野嶽 幸正
昭和大学産婦人科
今回我々は腹囲増大のため緊急CT検査が不可能だった巨大悪性腫瘍の一例を経験したので報告する.症例は55歳,2経妊2経産.10年以上前から腹部腫瘤感を自覚するも放置していたが平成14年腹部膨満感,呼吸苦,歩行困難を主訴に当院救急受診,当科に紹介され同日緊急入院となる.腹部超音波にて腹腔内に巨大充実性腫瘍及び大量腹水,胸水貯留と心拡大を認めた.腹囲180 cmと増大した腹部のため,CT,MRI装置に入らず,画像検索は不可能であった.腹水細胞診はクラス-IV,CA125は軽度上昇しており,原発巣は確認できなかったが,悪性腫瘍が強く疑われた.麻酔科,救命救急科,放射線科,循環器科,呼吸器科との合同カンファランスにおいて,全身状態の改善には腫瘍摘出が必要との結論となった.連日腹水穿刺により腹囲の縮小を図った後,腹部CT検査施行し卵巣悪性腫瘍と腹膜播種と診断,入院3週目に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は子宮由来であり,両側付属器は正常,腹腔内の広範囲に腹膜播種を認めた.子宮は腟上部で切断し,播種病巣の一部を切除した.摘出腫瘍重量は17.5 kg,腹水は15,300 ml,術中出血量は15,900 mlに及んだ.病理組織診断は子宮平滑筋肉腫であった.術後併発した心不全,肺水腫に対して3週間のICU管理下で全身状態の改善を図り,歩行のリハビリを開始するまで回復したが急速な肺転移による呼吸障害により術後44日目に死亡した.
Key words:Leiomyosarcoma, Huge abdominal tumor
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(1)
21-24, 2004
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