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【原著】
当院における妊婦の耐糖能スクリーニングと耐糖能異常妊婦の現状
高橋 宏典, 水本 賀文, 工藤 一弥, 提坂 敏昭
自衛隊中央病院産婦人科
妊娠初期と中期に50 g糖負荷試験(glucose challenge test:GCT)による耐糖能スクリーニングを実施した.GCT陽性妊婦に対し,75 g糖負荷試験(oral glucose tolerance test:OGTT)を行い,妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus:GDM)群,1点異常を示した軽度耐糖能異常群および正常群に分類した.GDM群および軽度耐糖能異常群をあわせた耐糖能異常妊婦の割合は,GCT導入前の1.2%から導入後の7.3%に増加した.GDM群のなかで妊娠初期にGDMと診断された例は33.3%(2/6),軽度耐糖能異常群については28.6%(2/7)であった.一方,妊娠初期より追跡できた例に限れば,GDM群については中期に診断されたGDM妊婦は全例とも初期ではGCT陰性であり,軽度耐糖能異常群については初期GCT陰性例が40%をしめた.また,GDM群および軽度耐糖能異常群は正常群と比べて,非妊娠時,分娩時および分娩後1か月のいずれの時期においても有意にBMIが大きく,軽度耐糖能異常群は他の2群と比べて出生児体重および妊娠期間中の体重増加が著明であった.以上から,GCTスクリーニングは耐糖能異常妊婦の検出に有効であり,初期と中期の両方実施する必要があると考えられた.さらに耐糖能異常妊婦と肥満との関連が示唆され,GDM妊婦のみならず,軽度耐糖能異常妊婦も食事管理などの指導を行う必要があると考えられた.
Key words:gestational diabetes mellitus(GDM), glucose challenge test(GCT), body mass index(BMI)
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(1)
41-46, 2004
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