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【原著】
茎捻転による急性腹症で発見された腹膜線維性中皮腫の1症例
高橋 宏典, 工藤 一弥, 吉田 昌史, 酒井 優*, 水本 賀文
自衛隊中央病院産婦人科, *病理
症例は66歳女性.強い腹痛と骨盤内腫瘤のため,当科を紹介受診した.理学所見上,腹膜刺激症状が存在し,血液学的にWBC 21,700 /μl,CRP 28.3 mg/dlと著明な上昇がみられたため,緊急開腹手術となった.卵巣広間膜に茎を有する充実性腫瘍が茎捻転をおこしていた.病理検査の結果,線維性中皮腫と診断された.線維性中皮腫は悪性中皮腫に分類される腫瘍である.特に腹膜由来弧発性のものは極めてまれであり,臨床的には子宮筋腫,卵巣線維腫と,また病理学的には単発性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor:SFT)との鑑別が困難である.同疾患について,免疫組織学的手法を用いた診断が必要であり,それに基づく正しい臨床情報の蓄積が待たれる.
Key words:fibrous mesothelioma, acute abdomen, torsion, solitary fibrous tumor (SFT), pelvic tumor
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(4)
315-319, 2004
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