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【原著】
高齢者に発症した4成分を含む卵巣混合性胚細胞腫瘍の一例
福田 貴則, 田中 邦治, 鈴木 啓太郎, 田部 宏, 森 裕紀子, 西井 寛, 渡辺 明彦, 落合 和彦
東京慈恵会医科大学附属青戸病院産婦人科
悪性胚細胞性腫瘍は若年女性に好発し,閉経後の女性では稀とされている.今回,高齢者に発症した4成分を含む卵巣混合性胚細胞腫瘍の一例を経験したので報告する.症例は60歳,4経妊2経産.2002年8月,不明熱,貧血の精査目的に当院内科に入院.腹部CTにて骨盤内に腫瘤を認めたため当科紹介となる.右付属器に径6 cm大の充実性腫瘤を認め,腫瘍マーカーCEA 7.5 ng/ml,CA125 1,254 U/mlと高値を示し,AFP,HCG-βは正常値であった.その他に発熱の原因となる疾患は検索されず,卵巣癌の疑いにて同年10月25日に内性器全摘術を施行.病理組織は未分化胚細胞腫,卵黄嚢腫,胎芽性癌,絨毛癌成分を含むmixed germ cell tumorでFIGO Stage IIc(pT2c N×M0)であった.術後の経過は良好で不明熱は軽快した.同年11月7日より化学療法BEP(bleomysin,etoposide,cisplatin)を6コース施行.以後,腫瘍マーカー,画像診断上,再発所見なく外来にて経過観察中である.
Key words:old woman, mixed germ cell tumor
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(4)
321-324, 2004
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