|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
【原著】
癌肉腫への悪性転化を伴う卵巣成熟嚢胞性奇形腫の一例
横山 安哉美, 安田 豊, 高島 明子, 桝谷 法生, 深谷 暁, 三宅 潔, 矢野 ともね, 大高 究, 木下 俊彦, 伊藤 元博
東邦大学佐倉病院産科婦人科学教室
卵巣成熟奇形種に伴う悪性転化は多くは扁平上皮癌であるが,今回癌肉腫への悪性転化を伴った稀な一例を報告する. 症例は50歳女性,5経妊4経産.2〜3か月前からの腹部膨満感,腹痛を主訴に前医を受診し卵巣嚢腫を指摘された.下腹部痛の増強と39℃代の発熱にて当院救急外来を受診.超音波検査にて,下腹部に嚢胞成分と充実成分の混在した腫瘍(10 cm)を認めた.腫瘍マーカーはCA19-9が385 U/ml,CA125が122 U/mlであった. 悪性卵巣腫瘍の診断で右付属器切除術を施行した.摘出標本の病理診断がcarcinosarcoma arising in mature cystic teratomaであったため,再開腹し,単純子宮全摘術+左付属器切除術+大網切除術+小腸部分切除術+高位前方切除術を施行した.小腸,大腸,腸間膜,大網に大小多発性の転移性病巣(扁平上皮癌の所見)が認められた.術後Paclitaxel 175 mg/m2+Carboplatin(AUC=5)を6クール投与したが,1か月後に腸管への浸潤からの下血が起こり,左下腹部には再発性の腫瘤を認め,術後1年後に死亡した.
Key words:malignant transformation, carcinosarcoma, mature cystic teratoma, ovarin neoplasma
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(4)
359-363, 2004
|