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【原著】
産褥期に汎発性腹膜炎を呈した子宮筋腫の1例
水竹 佐知子, 中村 学, 臼井 真由美, 宮本 純孝, 富田 初男, 安藤 昭彦
さいたま赤十字病院産婦人科
今回われわれは,産褥期に子宮筋腫の変性と感染により汎発性腹膜炎を呈した症例を経験した.患者は38歳,不妊治療にて妊娠成立した初産婦.妊娠初期より最大径9 cmの子宮筋腫を認めていたが,妊娠経過中は腹痛,発熱などの異常は認めなかった.妊娠38週4日に前期破水で入院となり,2日間にわたり分娩誘発を施行するも分娩に至らなかった.妊娠38週6日,母体の発熱と胎児頻脈が出現し児への感染が懸念されたため,帝王切開術にて3,042 gの女児を出産した.帝王切開後,発熱と炎症所見の軽快,再燃を繰り返し,抗生物質投与による保存的治療で経過観察をした.産褥35日目,発熱と子宮筋腫の存在部位に一致する下腹部痛にて再度入院となった.MRI検査にて,子宮筋腫の変性が疑われた.抗生物質投与による保存的治療で軽快しないため,産褥41日目に子宮筋腫核出術を施行した.開腹時,筋腫核は膿瘍化し一部被膜が破裂し,膿が腹腔内に流出し汎発性腹膜炎を呈していた.術後は解熱し炎症反応も改善した.子宮筋腫合併妊娠は産褥期に子宮筋腫の変性,感染を起こすことがある.保存的治療で炎症所見,症状の改善を認めない場合には,手術療法も考慮する必要がある.
Key words:uterine myoma, panperitonitis, puerperium
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(4)
415-419, 2005
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