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【原著】
妊娠11週に原田病を発症し子宮内胎児発育遅延を伴った一症例
河野 照子1), 深田 幸仁1), 伊東 敬之1), 星 和彦2)
1)独立行政法人国立病院機構甲府病院産婦人科 2)山梨大学医学部附属病院産婦人科
原田病は全身のメラニン細胞を侵し両眼に急性びまん性ぶどう膜炎から浸出性網膜剥離を生じ,急激な視力低下をきたす自己免疫性疾患である.今回我々は妊娠11週に原田病を発症し,子宮内胎児発育遅延をきたしたが妊娠36週に無事分娩に至った一症例を経験したので報告する.症例は40歳5経妊2経産の女性.妊娠11週に両眼痛と視力低下を生じ,妊娠13週に眼科を受診,原田病と診断されステロイド点眼を開始した.その後視力低下が進行したためステロイド結膜下注射を2回施行した.これにより眼病変は改善し,その後はステロイド点眼のみで加療した.妊娠28週頃より切迫早産徴候が認められ,塩酸リトドリンの内服を開始した.またこの頃より子宮内胎児発育遅延傾向が出現した.妊娠28週6日に切迫早産,子宮内胎児発育遅延の診断にて前医に管理入院となったが羊水過少も認められたため当院紹介となり,妊娠32週1日に当院管理入院となった.入院後妊娠35週より羊水量の急激な減少が認められたため妊娠36週1日に分娩誘発を施行したが分娩停止となり,同日腹式深部帝王切開術を施行した.児は1,724 g,Apgar score 1分後7点,5分後9点の女児でSmall for dateであった.母の術後経過は良好であり,現在まで原田病の再発は認められていない.
Key words:Vogt-Koyanagi-Harada disease, pregnancy, intrauterine growth restriction, Autoimmune disease
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(4)
421-425, 2005
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