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【原著】
腹腔鏡下に治療した卵巣妊娠の2症例
石川 哲也, 塩路 裕子, 本原 将樹, 苅部 瑞穂, 柴田 哲生, 野口 有生
大和徳洲会病院産婦人科
卵巣妊娠は全子宮外妊娠の約2%に発生するとされている稀な病態である.今回,子宮外妊娠の疑いで腹腔鏡検査を施行し,その結果卵巣妊娠であると診断し治療しえた2症例を経験したので報告する.症例1:31歳2経妊1経産.最終月経より6週4日,子宮外妊娠疑いにて紹介受診,症状は特になし,尿中hCG 3,840 IU/L,子宮内にGSを認めず,腹腔鏡検査を施行した.右卵巣表面に血腫の付着を認めたため付着物を切除したところ,摘出物内に肉眼上絨毛を認めた.病変部は卵巣表面より突出していたため,卵巣表面の胎嚢除去術を施行した.症例2:33歳2経妊1経産.最終月経より6週4日,不正出血の持続を主訴に紹介受診,尿中hCG 3,840 IU/L,子宮内にGSを認めず,腹腔鏡検査を施行した.左卵巣の一部の被膜破綻とその周囲の変色腫脹,および血腫の付着を認めたため卵巣部分切除術を施行した.両症例とも病理所見上,絨毛を認め卵巣妊娠であった.卵巣妊娠の分類は受精の場所により原発性卵巣妊娠と続発性卵巣妊娠の2つに分類され,原発性卵巣妊娠は卵巣表面着床と,卵胞内着床とに分類される.術中所見より本症例はそれぞれ卵巣表面着床と卵胞内着床の原発性卵巣妊娠であると考えられた.卵巣妊娠は術前診断が困難とされている.しかし卵巣妊娠に限らず子宮外妊娠の疑いが強ければ,妊娠の早期に腹腔鏡を用いて診断・治療を行うことで切除部位を小さくすることが可能であり,妊孕性を考えた保存療法が可能である.
Key words:Ovarian pregnancy, Laparoscopic surgery
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(4)
433-436, 2005
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