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【原著】
G-CSF産生卵巣嚢胞腺癌線維腫の一例
種元 智洋, 石塚 康夫, 北條 めぐみ, 長尾 充, 久志本 建
町田市民病院 産婦人科
G-CSF産生腫瘍は,婦人科領域では比較的稀な腫瘍である.今回我々はG-CSF産生が確認された卵巣嚢胞腺癌線維腫の1例を経験した.本症例は術前の血清G-CSF 235 pg/ml,M-CSF 437 pg/ml,白血球が30,900/μlと高値であり術後に正常化した.摘出卵巣組織が抗G-CSFモノクローナル抗体による免疫組織染色で染色されたことよりG-CSF産生卵巣癌と診断した. 症例は55歳,未経妊,腹部腫瘤にて近医より紹介される.末梢血検査で腫瘍マーカーはCA125が58 U/mlと高く,また白血球数が高値のため内科で骨髄穿刺を施行した.内診所見は,子宮は鶏卵大で可動性不良であり,臍高に達する腫瘍を触知し,超音波検査及び腹部CTで内部に一部充実性成分を伴う腫瘍を認めた.以上より卵巣悪性腫瘍の疑いにて平成14年12月に手術を施行した.開腹所見は,血性腹水を少量認め,左卵巣は小児頭大に腫大しており子宮体部と軽度の癒着を認めた.子宮は鶏卵大,右卵巣は肉眼的に正常であった.腹式単純子宮全摘出術および両側付属器摘出術を施行した.術後病理組織診断は卵巣嚢胞腺癌線維腫であった.卵巣腫瘍の術前に末梢血中の白血球数が高値な場合は,G-CSF産生腫瘍を念頭に置く必要性が示唆された.
Key words:cystadenocarcinofibroma, granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF), G-CSF producing tumor, ovarian tumor
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(1)
3-7, 2006
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