|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
【原著】
カルボプラチンによる過敏反応に関する臨床的検討
伊志嶺 めぐみ, 嵯峨 泰, 竹井 裕二, 高野 貴弘, 和田 智明, 町田 静生, 藤原 寛行, 泉 章夫, 大和田 倫孝, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
カルボプラチンの過敏反応症例の臨床像を後方視的に検討した.2001年1月から2003年12月までの2年間に,自治医科大学附属病院産婦人科でカルボプラチンを含む化学療法が施行された婦人科悪性疾患111例中10例,9%に同薬剤が原因と考えられる過敏反応がみられた.6コース以下での発症例はなく,7から10コースでの発症率は29%(4/14),11コース以上では24%(6/25)であった.7コースを超えるとリスクが増えることが判明した.過敏反応発症例のうち9例は再発症例に対する2度目の化学療法中に発症した.これらの症例の初回化学療法から発症までの期間は17か月から73か月と,幅広くかつ長期におよぶ例もみられ,前治療からの期間が長くても発症の危険があることが判明した.過敏反応の症状は,全身掻痒感,痺れ,動悸が多く見られたが,血圧低下,呼吸困難などの重症例も3例認められた.発症時期は全ての症例が投与開始後30分以内であった.治療は速やかな投与中止に加え,補液,ステロイド投与が有効であった.2例にカルボプラチンの再投与を試みたところ,再度過敏反応が惹起した.過敏反応発症例に対し,ネダプラチン/パクリタキセル併用療法を4例に試みたところ,1例を除き3例が安全に投与できた.カルボプラチン過敏反応症例に対しネダプラチンが代替薬剤となりうる可能性が示唆された.
Key words:carboplatin, hypersensitivity reaction, ovarian cancer, nedaplatin
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(1)
9-12, 2006
|