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【原著】
悪性腫瘍が疑われた骨盤内放線菌症の1例
三沢 昭彦, 中島 邦宣, 松本 隆万, 高田 全, 柳田 聡, 篠崎 英雄, 平間 正規, 鈴木 永純, 安田 允
東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科
症例は51歳,子宮筋腫精査加療目的にて当科紹介受診,子宮筋腫ならびに右付属器領域に圧痛を認め,子宮筋腫および炎症性癒着と診断し,開腹手術を施行した.開腹所見では右付属器は周囲と浸潤性に癒着し一塊となっており,肉眼的には付属器悪性腫瘍または膀胱腫瘍が疑われたが術中病理検査にて悪性所見は認められなかった.病理組織学的検索では膿瘍の中心に菌塊を認め,ヘマトキシリンによく染まる放射状に伸びる菌糸が認められ,放線菌症に相当する像と考えられたが,細菌培養検査では放線菌は認められなかった.以後セフェム系抗生剤により軽快,再発を認めていない.症例は7年にわたり子宮内避妊器具を挿入していた.放線菌症は主に嫌気性グラム陽性桿菌Actinomyces israeliiによるまれな感染症であり,子宮内避妊器具の長期装着との関連性が指摘されている.
Key words:Actinomycosis, IUD, Case Reports
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(1)
13-16, 2006
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