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【原著】
卵巣成熟嚢胞性奇形腫より発生した高分化型腺癌の一例
岩本 豪紀*1, 鈴木 真梨子*1, 渡邊 直子*1, 藥袋 牧子*2, 平田 修司*2, 星 和彦*2
*1山梨赤十字病院産婦人科 *2山梨大学医学部産婦人科
卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化の頻度は約1.7〜1.9%と報告されている.そのうち,約80%は扁平上皮癌で,腺癌の発生は約6.3%と極めて稀とされている.今回我々は卵巣成熟嚢胞性奇形腫より発生したと考えられる高分化型腺癌の一例を経験したので報告する.卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化は稀ではあるものの,stage III以上の場合,その予後は極めて不良とされている.よって,比較的高齢の,10 cm以上の腫瘍径を有する卵巣成熟嚢胞性奇形腫の例では,悪性転化の可能性も考慮に入れた積極的な検索が必要である.卵巣成熟嚢胞性奇形腫の悪性転化を疑った場合,画像診断と共に腫瘍マーカーの検索が必要となる.その場合,扁平上皮癌化の指標としてSCCが用いられることが多いが,本症例の様に,扁平上皮癌以外へ悪性転化をしている場合も考慮し,CA19-9,CEAを含めた腫瘍マーカーの検索が必要であると思われる.
Key words:mature cystic teratoma, adenocarcinoma, malignant transformation
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(1)
41-45, 2006
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