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【原著】
若年性子宮体癌に対する温存療法の問題点〜当院において経験した10症例を通じて〜
松永 竜也, 田村 正明, 小平 博, 今井 一夫
横須賀市立市民病院 産婦人科
近年日本においても生活様式の欧米化や結婚の高齢化・出産回数の減少などの要因により子宮体癌は増加傾向にある.同時に若年者のそれの増加に伴い,妊孕性維持を必要とする症例も増えてきている.子宮体癌に対する温存療法は,以前より高用量プロゲステロンの投与が行われており,40歳未満の若年性子宮体癌はホルモンレセプター陽性率が高く,ホルモン療法により,比較的良好な成績が得られている.また,近年における不妊治療の発達により,病変消失後の妊娠・分娩例も内外で多数報告されてきている. 当院において経験した若年性子宮体癌症例は10例あり,そのうち6例に温存療法を行った.2例は治療効果が不十分で,ホルモン療法の中止を余儀なくされたが,4例においては病変が消失し,その後妊娠・分娩に至った. 温存療法の条件や治療方法などはある程度確立されてきているが,社会背景の変化に伴い,温存療法に付随する問題点は多様化してきている.疾患の性質上,再発する可能性や治療通院期間の長期化など患者への負担も少なくない為,インフォームドコンセントが特に重要となってくる.しかし,我々産婦人科医は患者との信頼関係を築きつつ,温存療法の条件や治療方法など柔軟に対応し,妊孕性維持に努めるべきであると考える.
Key words:endometrial carcinoma, atypical endometrial hyperplasia, conservative therapy
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(4)
347-351, 2006
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