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【原著】
先天性胆道閉鎖症術後妊娠10例13回の検討


渡辺 紀子, 種元 智洋, 新家 秀, 村島 温子, 久保 隆彦, 北川 道弘, 名取 道也
国立成育医療センター 周産期診療部


 1991年12月から2005年8月まで,国立成育医療センター(旧国立小児病院と旧国立大蔵病院の症例を含む)で妊娠分娩管理された先天性胆道閉鎖症術後妊娠10例13回(肝移植後妊娠1例2回を含む)の経過を検討した.妊娠中6例7回に食道静脈瘤が見られた.3例3回は妊娠後出現し,ほか3例4回中2例2回は妊娠経過中に所見の進行が見られ,1回は予防的に内視鏡的結紮療法が施行された.吐血が1回に見られ,緊急内視鏡が施行されたが,食道静脈瘤からではなく,急性胃粘膜病変からの出血であった.2例2回に血小板減少症を認めた.1回に高アンモニア血症と肝機能障害を認め,1回に胆道系酵素の一時的な上昇を認めた.2例2回に分娩後,上行性胆管炎を認めた.産後,肝移植となった1回があった.死産が1回,34週の早産が1回,SFD児が肝移植後妊娠例の2回で見られた.分娩様式は,経腟分娩が3例5回,帝王切開が7例8回であった.今回の症例を通し,周産期管理で留意すべき合併症は(1)食道静脈瘤(2)汎血球減少症(脾機能亢進症)(3)上行性胆管炎と考えられた.

Key words:pregnancy, delivery, biliary atresia, esophageal varices

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(4) 353-357, 2006


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