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【原著】
妊婦における細菌性腟症について
野田 芳人, 西井 文乃, 荒井 忠士, 後 賢, 大河原 聡, 大野 勉, 望月 愛郎, 吉原 一, 田口 明, 佐々木 貴子*, 内野 直樹
社会保険相模野病院周産期母子医療センター, *同臨床検査部
細菌性腟症(Bacterial vaginosis:BV)は,何らかの原因により乳酸桿菌を主とする腟内正常細菌叢が複数の菌種に置き換わった状態で,妊娠時にBVが存在すると,絨毛膜羊膜炎を引き起こし流早産になることがある.近年,流早産とBVとの関連が多く報告され,その診断・治療の有用性が重要視されている. 今回,妊婦におけるBVについて再度検討を行った.対象は,妊婦健診で来院した妊娠13週から25週までの単胎妊娠350症例である.内診時に経腟超音波検査による子宮頸管長の計測,腟内の分泌物のグラム染色,Group B streptococcus(GBS)検出を目的とした一般培養検査及びウレアプラズマ培養,頸管内のクラミジア・トラコマティスDNAの検出を行い,BVと妊娠予後の関連について検討した.検出された細菌は,Ureaplasma urealyticum 124例,GBS 56例,Coagulase negative staphylococcus 49例,Candida albicans 47例,E. coli 46例であった.臨床症状よりBVを疑わせる症例はなかったが,グラム染色標本によるスコア診断では12.6%(44例)の頻度でBVを認めた.また,マイコプラズマ属,腸球菌や大腸菌の陽性例が,BV群に多かった.BVと早産の関係では,BV群に早産例が有意に多く,従来より報告があるように,BVの存在が早産の危険因子の一つであることが再確認できた.
Key words:Bacterial vaginosis, Preterm delivery
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(1)
3-7, 2007
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