|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
【症例報告】
妊娠中に充実性部分を伴う卵巣嚢胞を摘出し,病理組織検査の結果,脱落膜変化であった一例
小古山 学, 町田 静生, 森松 友佳子, 渡辺 尚, 大和田 倫孝, 松原 茂樹, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
妊婦健診で付属器腫瘤が発見された場合,その多くは良性卵巣腫瘍であるが,卵巣癌を鑑別する必要がある.今回,術前の画像検査により充実性部分がみられたことなどから卵巣癌を疑ったが,術後の病理組織検査で特異的な像を示した卵巣嚢胞を経験したので報告する.症例は32歳,0経妊.既往歴,子宮内膜症.前医にて2絨毛膜2羊膜性双胎妊娠と診断され,5 cm大の左卵巣嚢胞を指摘されていた.妊娠15週に当科に紹介初診した際には,嚢胞像は8×5 cm大と増大傾向にあった.超音波検査で嚢胞は単房性であったが,内部に辺縁不整の乳頭状隆起があり,カラードプラー法で同部に血流が確認された.また,MRIにても同様の充実性部分を認めた.血清CA125は119 U/ml(15週)から171 U/ml(18週)と上昇傾向を示した.以上のことから悪性卵巣腫瘍を疑い,患者・家族と相談の後,19週に左付属器切除術を施行した.摘出検体は肉眼的にも嚢胞壁の乳頭状隆起を認めたが,術中迅速病理診断では良性であった.最終病理診断は「脱落膜変化および浮腫を伴う単純性嚢胞」であった.
Key words:Decidual Change, Ovarian cyst, Pregnancy
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(1)
15-18, 2007
|