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【症例報告】
GemcitabineとDocetaxelを併用した化学療法が著効した子宮平滑筋肉腫再発の1例
石黒 葉子*1, 村上 優*1, 塚田 ひとみ*1, 菊池 公孝*1, 信田 政子*1, 中村 絵里*2, 三上 幹男*2, 篠塚 孝男*3, 佐藤 慎吉*4
1)東海大学大磯病院 産婦人科 2)東海大学付属病院 産婦人科 3)綾瀬厚生病院 4)東海大学大磯病院 病理
子宮平滑筋肉腫は急速な臨床経過から予後不良な疾患であり,その頻度の少なさもあり治療方法がいまだ確立していない.化学療法としてDoxorubicinやIfosfamideをベースとした化学療法が選択されているが,その奏効率は決して高くはない.近年Gemcitabine(GEM)とDocetaxel(DOC)を使用した軟部肉腫に対する化学療法の高い奏効率の報告が多くみられるようになった.今回我々は,子宮平滑筋肉腫再発に対してGEMとDOCを併用した化学療法で著効を示した症例を経験したので報告し,文献的考察及び今後の展望を述べたい.【症例】55歳,0経妊,53歳閉経.不正性器出血を主訴に近医を受診し,7 cm大の変性筋腫の診断で紹介となった.初診時血液検査では特に異常はなく,子宮腟部,体部細胞診ともに陰性.9日後性器出血多量にて来院.貧血の進行のため,同日緊急で腹式子宮全摘出および両側付属器摘出術を施行し,病理診断で子宮平滑筋肉腫と診断された.術後化学療法としてTTJ(TXL+CBDCA+THP)を6コースおこなった.化学療法終了2か月後に腟断端再発(83 mm)と両側肺野に多発する転移性腫瘍(最大23 mm)をみとめた.GEMとDOCにて全身化学療法を行い,3コース終了後腟断端腫瘤,転移性肺腫瘍は約50%に縮小し,6コース後には局所再発,転移巣ともにほぼ消失し縮小率は98%となった.
Key words:Gemcitabine, Docetaxel, Leiomyosarcoma
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(1)
19-24, 2007
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