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【症例報告】
Laser zona thinning法を実施した凍結融解胚の胚移植後に双胎妊娠が成立し,妊娠34週にて胎盤早期剥離となった一例
橋場 剛士, 仲村 勝, 吉田 宏之, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部 産婦人科
複数回のIVFを繰り返しても妊娠に至らないrecurrent implantation failure(RIF)例に対して,孵化補助を行うことにより妊娠率が向上すると報告されている.今回私たちは,RIF例の凍結融解胚に孵化補助法の一つであるlaser zona thinning(LZT)法を実施し,双胎妊娠が成立したが,妊娠34週にて胎盤早期剥離のため帝王切開を行った症例を経験したので報告する.[症例]30歳,1経妊0経産(右卵管峡部妊娠のため右卵管摘出術),不妊診断は卵管不妊(左卵管開口術後の再閉塞).1,2回目IVFの新鮮および融解胚移植では妊娠成立しなかった.着床環境改善のため腹腔鏡下左卵管摘出術を実施した.3回目IVFの新鮮胚移植では妊娠成立しなかったが,融解胚を胚盤胞まで培養し,LZT法を実施後2個胚移植したところ,二絨毛膜双胎妊娠が成立した.34週に胎盤早期剥離のため緊急帝王切開を実施した.第1児は女児,1,868 g,Apgar score 8〜8点,羊水は血性,胎盤の1/5の剥離を認めた.第2児は女児,1,934 g,Apgar score 5〜8点,羊水は褐色,胎盤に異常を認めなかった.母児のその後の経過は良好であった.[結語] LZT法は一定の効果を認め広く実施されているが,周産期合併症や胎盤の異常に注意して観察する必要があるかもしれない.
Key words:repeated implantation failure, assisted hatching, laser, IVF, perinatal outcome
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 44(4)
357-361, 2007
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