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【症例報告】
頸管妊娠に対してMTX全身投与および動脈塞栓術を施行し妊孕能を温存し得た一例
木須 伊織, 荒瀬 透, 渡辺 広是, 石本 人士, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学医学部産婦人科教室
頸管妊娠は子宮外妊娠の中でも大変稀であり,妊娠経過中に大量出血をきたし,救命のための子宮全摘により妊孕性を失う可能性が高い疾患である.今回我々は,妊娠初期に診断された頸管妊娠に対して,メソトレキセート(以下,MTX)全身療法及び子宮動脈塞栓術を併用し,妊孕能を温存することが出来た一例を経験した.症例は42歳女性,0経妊0経産.早発卵巣不全のため米国で卵子提供・胚移植を受け妊娠.他院で妊娠6週に頸管妊娠を疑われ,性器出血を認め当科に紹介受診となった.来院時の超音波断層法所見で子宮頸管に心拍を有する胎芽を認め,MTX全身療法を開始したが,持続的な性器出血を認め,MTX治療開始7日目に子宮動脈塞栓術を施行した.MTX治療開始10日目に外子宮口より胎 嚢の自然排出を認めたが,hCGの減少が遷延したため,MTX治療開始15日目にMTX療法2クール目を追加した.その後hCGが漸減し,MTX治療開始43日目にhCGが陰性化した.経腟超音波断層法の普及により頸管妊娠の早期診断が可能となったが,治療面では妊孕能を考慮した保存的治療や根治的治療などの多様な選択肢があり,確立された治療方法はない.妊孕能を温存する場合は大量出血への対応を念頭に置きながら保存的治療をする必要がある.
Key words:cervical pregnancy, Methotrexate, uterine artery embolization
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(1)
21-26, 2008
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