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【原著】
子宮頸癌(Ib1〜IIb)における卵巣および骨盤リンパ節転移
高橋 寿々代, 大和田 倫孝, 藤原 寛行, 嵯峨 泰, 竹井 裕二, 鈴木 光明
自治医科大学医学部産婦人科
自治医科大学附属病院産婦人科で,両側付属器摘出術を含む広汎子宮全摘術が施行された子宮頸癌Ib1〜IIb期患者363例を対象に,卵巣転移頻度と骨盤リンパ節転移について後方視的検討を施行した.その結果,1)卵巣転移頻度は子宮頸癌全体で1.4%に認められた.腺癌は5.4%で扁平上皮癌(0.3%)より有意に高率であった(P<0.01).2)骨盤リンパ節転移は全体で26.4%にみられた.腺癌は40.5%で,扁平上皮癌(22.8%)より有意に高率であった(P<0.01).3)卵巣転移のみられた5例はいずれも骨盤リンパ節転移陽性症例であった.骨盤リンパ節転移陽性例の卵巣転移率は5.2%で,リンパ節転移陰性例(卵巣転移率0%)に比べて有意に高率であった.(p<0.001).4)卵巣転移陽性例の3年生存率は20%で,陰性例(87%)に比べて有意に予後不良であった(p<0.05).5)腺癌において,リンパ節転移陽性例の予後は,陰性例に比べて有意に不良であった.(p<0.005). 子宮頸癌における卵巣および骨盤リンパ節転移は,腺癌で有意に高率であり,またいずれも転移の見られた症例の予後は不良であった.腺癌における卵巣温存は極めて慎重を要すると考えられた.
Key words:cervical cancer, radical hysterectomy, ovarian metastasis, lymph node metastasis, prognosis
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(4)
313-317, 2008
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