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【症例報告】
癒着胎盤を示唆する全前置胎盤を合併した無脳児妊娠:症例および産科対応に関する検討
蓬田 奈保子, 間崎 和夫, 八尾 陽一郎, 戸田 淑子, 田岡 英樹, 関根 貴子, 前村 俊満, 竹下 直樹, 田中 政信, 森田 峰人
東邦大学医療センター大森病院産科婦人科学教室
症例は41歳,2回経妊,2回経産(2回帝王切開術).妊娠15週時に近医より無脳児の疑いで当科に紹介された.経腹超音波検査では胎児の頭蓋骨は欠損し,その他の体幹には大きな奇形を認めず無脳児と診断した.胎盤は前壁に付着した全前置胎盤であり,前回帝王切開創部への癒着胎盤が疑われた.今回の妊娠継続および分娩は母体の健康を著しく害するおそれがあるため,人工妊娠中絶が選択された.全前置胎盤で癒着胎盤が考えられるため,経腟的人工妊娠中絶術や帝王切開術の胎盤剥離時には大量出血の可能性がある事を患者に説明し,子宮全摘術を選択した.妊娠16週時に胎児を娩出せずに単純子宮全摘術を行った.児は無脳児で,胎盤は子宮頸部前壁に深く侵入した嵌入胎盤であった.術中出血量は1,150 mlであったが輸血は行わず,鉄剤投与にて術後第9病日で退院した.
Key words:placenta increta, total placental previa, midtrimester abortion
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(4)
319-322, 2008
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