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【症例報告】
自己免疫性肝炎合併妊娠の一例
大井 由佳, 野中 愛子, 門脇 綾, 最上 多恵, 長谷川 哲哉, 野村 可之, 田野島 美城, 小川 幸, 斉藤 圭介, 奥田 美加, 高橋 恒男, 平原 史樹*
横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター *横浜市立大学附属病院産婦人科
自己免疫性肝炎(Autoimmune Hepatitis;AIH)は女性に多い肝炎であり,近年の治療法の進歩によりAIH合併妊娠が増加している.今回我々は,妊娠初期にAIHを発症し妊娠31週で早産となった症例を経験したので報告する. 症例は30歳女性,2経妊1経産,既往歴に特記すべきことはない.妊娠16週で黄疸と倦怠感が出現した.AST/ALT:1,433/1,204(IU/ml),Total bilirubin/Direct bilirubin:21.2/13.7(mg/dl)と著明な肝機能悪化を認めたが血小板数は23万(/μl),血圧は正常だった.肝生検ではInterface hepatitisを認め,超音波検査で脂肪肝を認めなかった.AIHが疑われ,プレドニゾロン(PSL)30 mg/日の内服を開始したところ肝機能は著明に改善し,AIHと診断した. 30週2日,前期破水のため入院し,31週0日,1,170 gの男児を経腟分娩した.児はNICUに入院となり,重篤な合併症なく経過した.母体の産褥経過も良好であり,PSL15 mg/日の内服継続により肝機能の再増悪を認めなかった.
Key words:Autoimmune Hepatitis, Pregnancy
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(4)
329-333, 2008
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