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【特集】
Clostridium perfringens(ウェルシュ菌)子宮内感染にて急激な経過をたどった子宮体癌の1例
平石 光, 安部 和子, 鹿沼 史子, 伊吹 令二, 矢崎 千秋
公立富岡総合病院産婦人科
C. perfringensはガス壊疽や食中毒の原因菌として知られているが,稀に重篤な敗血症の原因となる.今回我々は,腰痛と不正出血を主訴に来院し,急激に状態が悪化し死亡したC. perfringens(ウェルシュ菌)感染症を伴う子宮体癌の症例を経験したので報告する.症例は40歳女性,未婚で性交歴なし.既往歴・家族歴に特記すべきことなし.2か月前からの不正性器出血にて近医受診し子宮筋腫を指摘されており,細胞診異常なく,近日の子宮内膜組織検査を勧められていた.腰痛が出現し,鎮痛剤にて改善しないため当科受診し入院.頻呼吸・疼痛の訴え強いため鎮痛剤投与.軽度の肝酵素上昇,ビリルビン高値.37℃台の微熱,WBC 22,300/μg,CRP 1.0 mg/dlと炎症反応を認め抗生剤点滴開始.CA125は77 IU/mlと高値であった.入院後2時間の時点で子宮内容排出あり.鎮痛剤追加しても疼痛改善なく緊急CT施行.CTより帰室時に嘔吐と泡沫状の喀血を認めた.急激に意識消失を認め心肺停止.心肺蘇生・薬剤投与に全く反応せず死亡した.CTでは子宮筋層の変性とガス像がみられた.心肺蘇生時の採血所見は高度溶血とHtの著明な低値が特徴的であり(表1),後日,血液培養よりClostridium perfringensが検出された.腟から自然排出された子宮内容の病理診断はEndometrioid adenocarcinoma,G3であった.
Key words:Clostridium perfringens, sepsis, uterine cancer, gas gangrene, clostridal myonecrosis
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(4)
371-375, 2008
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