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【原著】
風疹抗体高値にて二次施設に紹介された妊婦44例の報告
花岡 正智1)2), 武藤 和弘1), 高屋 茜1), 崎川 牧子1), 善利 史子1), 久保 隆彦2), 川名 尚3), 平原 史樹4), 小島 俊行1)
1)三井記念病院産婦人科 2)国立成育医療センター周産期診療部産科 3)帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科 4)横浜市立大学大学院医学研究科生殖生育病態医学
風疹HI抗体,IgM抗体の変動と児の先天感染の有無との関連の解明を目的とした.対象は,二次施設となっている当科を平成17年1月〜平成19年1月までの2年間に受診した,風疹HI抗体256倍以上,またはIgM抗体陽性の妊婦44例とした.IgM抗体が急激に減少,または増加する症例は,今回の妊娠期間中の初感染の可能性があり,先天性風疹症候群のリスク群であるが,今回のわれわれの検討ではIgM陽性妊婦で,IgMはある程度の範囲で変動したが,先天性風疹症候群は一例もなかった.IgMの変化幅は1.31の低下または,1.30の増加の範囲内であった.風疹に特徴的な発疹や風疹患者との濃厚な接触などのリスクがある症例はなかった. なお,先天感染した例がないため,IgMの値から先天感染の有無を推定することは出来なかった.風疹の既往が確認できたのは21例(47.7%),風疹ワクチンの接種が確認できたのは12例(27.3%)といずれも低かった.風疹IgM抗体陽性の際には,二次施設へのコンサルトをすすめたい.
Key words:rubella-specific IgM antibody, congenital rubella syndrome (CRS)
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(1)
3-8, 2009
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