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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(1) 頚管無力症の治療と予後について
河村 隆一1), 松村 英祥1), 村山 敬彦2), 斎藤 麻紀1), 林 正敏2), 小林 浩一2), 林 直樹1), 石原 理1), 竹田 省1)
埼玉医大総合医療センター産婦人科1), 同周産期母子医療センター周産期センター2)
(目的)切迫早産の原因の1つに頚管無力症があるが,その早期診断には困難なことが多く,通常の妊婦検診時に子宮口開大や胎胞が膨隆した状態で診断されることもある.今回頚管無力症と診断された症例の治療と予後について検討した.(対象と方法)対象は1995年から2000年の6年間に頚管縫縮術を試行した196例のうち,妊娠中期に頚管長短縮,内子宮口開大,または胎胞膨隆を認め,頚管無力症と診断した60例である.著明な感染徴候や子宮収縮が認められない症例は,直ちに頚管縫縮術を施行.感染徴候や子宮収縮を認めた症例は感染を治療,子宮収縮を抑制した時点で手術した.頚管縫縮術が施行できない症例は感染の治療,子宮収縮抑制のみ行った.NSTによる子宮収縮のチェック,経膣超音波法による頚管長測定,WBC,CRP,膣培養検査を行い評価・治療を行った.(結果)頚管縫縮術を行った60例中症例の内訳は単胎51例,双胎9例,初産22例,経産38例であった.当科で妊婦健診を受けていた症例は42例,母体搬送例は18例であった.胎胞膣内脱出例(A群)13例,子宮口開大・頚管短縮例(B群)は47例であった.頚管縫縮術の平均施行週数は,A群22.0週,B群21.5週であった.又A群B群それぞれの平均在胎延長期間は7.7週,18.0週,平均分娩週数は29.0週,37.8週であった.34週末満に絨毛羊膜炎,子宮収縮抑制不能のため早産となった症例は5例で内4例は分娩時まで細菌性膣炎を疑わせる所見が認められた.(考察)頚管無力症の治療として頚管縫縮術は有効だが,術前後の感染予防と子宮収縮抑制のコントロールが重要であり,絨毛羊膜炎への進展を防止することが在胎期間の延長につながると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
234-234, 2001
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