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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(2) 妊娠中に発症し大腿骨頭骨折を伴った一過性大腿骨頭萎縮症の1例
皆川 祐子, 宇野 雅哉, 大井 理恵, 田島 麻記子, 石川 智則, 岩田 みさ子, 塚原 優己, 宇田川 秀雄,
国保旭中央病院産婦人科
一過性骨萎縮症は主に大腿骨頭に発症し,大腿骨頚部骨折の頻度は高い.多くは股関節周囲や鼠径部の疼痛,股関節の可動域制限をもって発症し,X線像上に骨萎縮症像を認める.数カ月の経過で症状と画像所見が正常に復帰する疾患である.女性症例の2/3以上が妊娠に関連しており,特に妊娠三半期後期に多いとの報告がある.1959年のCurtiss and Kincaidの報告以来,本邦でも1976年から整形外科的に報告が散見されている.原因は子宮増大による骨盤内静脈の圧迫など諸説あるが確定していない.治療は過重の制限および床上安静による保存治療であり,疼痛に対しては非ステロイド系抗炎症剤投与を行う.今回私達は前置胎盤にて安静臥床中に右股関節痛にて発症し,大腿骨頭骨折を伴った一過性大腿骨頭萎縮症の1例を経験したので報告する.症例は29歳1経産.合併症に先天性股関節脱臼症がある.妊娠28週から前置胎盤,切迫早産にて前医で入院し切迫早産の治療をうけていた.切迫早産の増悪のため妊娠30週に当院へ母体搬送された.前医入院中から右股関節痛はあったが,32週頃から疼痛が増悪しX線上で右大腿骨頭に骨梁陰影の減弱と骨折線を認めた.右股関節への荷重を避け,疼痛はアセトアミノフェンで対応し,妊娠34週頃には骨梁陰影に軽快傾向がみられた.妊娠37週で帝王切開で分娩,術後7日から松葉杖にて免荷歩行を開始し術後9日で退院となった.帝王切開から1カ月経過し現在も骨萎縮像はみられ経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
237-237, 2001
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