|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(4) Gitelman症候群を伴った妊娠の一例
水本 賀文, 関根 さおり, 壽圓 裕康, 秦 俊昭, 提坂 敏昭
自衛隊中央病院産婦人科
Gitelman症候群は低カリウム(K)血症,代謝性アルカローシス,血漿レニン活性高値などBartter症候群と共通の症状に加えて尿中カルシウム(Ca)排泄の減少および低マグネシウム(Mg)血症を伴い,学童期から成人で診断される疾患である.今回,我々は著明な低K血症と脱力を伴った妊娠中期の妊婦でGitelman症候群と診断された症例を経験したので報告する.症例は35歳,2回経妊,0回経産(人工妊娠中絶2回),最終月経が平成12年12月24日で近医にて妊婦検診を実施していた.平成13年4月,母親の介護で一時沖縄に帰省した.帰京後5月上旬より食欲不振と嘔吐を繰り返し,5月15日,妊娠20週で動悸,脱力感,脱水にて当科に紹介された.超音波断層検査では胎児に異常はなかったが,血清K値が1.9mEq/lと著明に低下しており,ただちに入院管理となった.低K血症に対してK製剤を経口投与するも改善せず,KClとCa製剤の点滴投与を行った.腎糸球体の血流量維持のためドーパミンを使用し,併せてアルダクトン利尿剤を投与た.血清K値は上昇し,症状は改善した.レニン活性は入院当初778.0pg/mlと高値を示した.内科的検索によりGitelman症候群と診断された.その後超音波断層検査で胎児発育は順調で羊水量にも大きな変化はなく,退院して外来で経過観察とした.Gitelman症候群を合併した妊娠例は報告がほとんどなく,妊娠による症状の憎悪については現在のところ不明である.さらに分娩に際して過換気によるアルカローシスの憎悪が考えられ,十分な管理が必要と思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
242-242, 2001
|