|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(4) 特発性副甲状腺機能低下症合併妊娠の一症例
藤江 道子, 深田 幸仁, 平田 修司, 星 和彦,
山梨医科大学産婦人科
副甲状腺機能低下症合併妊娠は稀であり,低カルシウム血症が母体のみならず胎児にも影響するため厳重な管理が必要となる.今回我々は,妊娠28週から管理を行った特発性副甲状腺機能低下症合併妊娠の1症例を経験したので報告する.【症例】30歳,初妊婦,未婚【既往歴】特発性副甲状腺機能低下症のため当院小児科にてfollow up. 1−α D3および乳酸カルシウムの怠薬が激しく,コントロール不良.視床下部石灰化,知的障害,白内障などの特徴的所見も認めた.【現病歴】2000年12月8日(妊娠28週1日)当科紹介初診.引き続き1−α D3,乳酸カルシウムを内服し,血中カルシウム(Ca)は6.5〜6.9mg/dl(正常8.9〜10.4),血中intact PTHは5〜10pg/ml(正常10〜60)で経過した.胎児発育は順調であった.34週0日,血中intact PTHの急上昇を認めたため(後に測定ミスと判明),36週0日から精査目的で入院管理とした.【入院後経過】再検査にてintact PTHはこれまでと同様に低値であった.血清Ca値は8.5〜8.8mg/dlと改善し,テタニー症状などは認めなかった.入院後,腎機能が悪化したため分娩を誘発し,37週1日,2906g,Apgar 1分値9点の男児を経腟分娩した.児は一過性の低Ca血症を認めたがすぐに改善した.本人は育児不可能なため,児は養子縁組し,同時に停乳とした.分娩後Ca 12.3mg/dlと高Ca血症になったため,1−α D3を減量し,乳酸カルシウムを中止した.産褥8日目に腎機能,Ca値ともに改善傾向を認め,退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
243-243, 2001
|