|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(5) 陣痛誘発中に発生した子宮後壁破裂の一例
佐野 裕子1), 東 眞1), 小山 典宏1), 岩下 光利2), 中村 幸雄2)
小山病院産婦人科1), 杏林大学産婦人科2)
子宮破裂は母児ともに重篤な結果をもたらすことが多く,産科における重要な救急疾患のひとつであり,その発生要因として帝王切開などの既往による子宮瘢痕,陣痛促進剤の使用が指摘されている.その破裂部位は子宮下部前壁正中から側壁にかけての頻度が高く,後壁は比較的稀とされている.今回我々は,非瘢痕子宮症例における陣痛誘発中に急激かつ高度な児の徐脈を認め,緊急帝王切開を施行したところ無症候性に子宮体部後壁の破裂を来していた症例を経験したので報告する.症例は36歳,3回経産婦.帝王切開ほか開腹手術の既往なし.平成12年9月18日,妊娠40週5日で陣痛発来せず,予定日超過で陣痛誘発目的で入院.子宮口3cm開大にて同日オキシトシン点滴静注を開始した.点滴開始約6時間後に過強陣痛やショック症状など認めず,NST上late decelerationの頻発を認めたため,緊急帝王切開を施行した.全身麻酔下に開腹すると子宮後壁が約15cmにわたり完全断裂しており,胎盤もほぼ遊離状態であった.児は3334g,女児,アプガースコア2/4点で,NICU管理となった.破裂創は三層に縫合し閉鎖,子宮を温存し,出血量は1070mlであった.今回は本症例の経過の概要とともに,適切な診断,対応などについて文献的考察を交えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
245-245, 2001
|