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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(7) 妊娠・分娩時の母体脳出血2症例の臨床経過と比較
糸数 修, 藤東 淳也, 野平 知良, 岡部 一裕
東京医科大学八王子医療センター産婦人科
妊産婦の脳出血は母体死亡の主たる原因の一つであり,速やかな対応が要求される.今回我々は妊娠中と分娩中に発生した妊婦脳内出血2症例を経験したので,各々の臨床経過を示すと共に,それらを比較検討して考察を加えた. 症例1:23歳,初産婦.2歳時に先天性クモ膜嚢胞の診断を受け,17歳まで脳神経外科通院していたが,症状(−)であったため通院を止め,その後,結婚,妊娠に至るも本人に自覚無かった.妊娠33週1日,就寝中に頭痛を覚えて覚醒し,意識は清明だが言語が話せない状態となった.翌日早朝に同様の症状が出現したため来院しCTを撮影したところ,5×6cm大の出血を伴うhigh density areaが描出され,クモ膜嚢胞表面の血管破綻による慢性硬膜下血腫と診断された.入院・安静にて経過観察し,妊娠36週1日で帝王切開術を施行し,2675gの男児をAp. S:8点で娩出した.産褥期に症状増悪を認めず,産褥12日目に退院した. 症例2:29歳,初産婦.妊娠経過中に特記すべき異常は指摘されなかった.妊娠38週1日,陣痛が発来し入院となった(入院時血圧:140/98mmHg).分娩第2期に血圧が急激に上昇(190/128mmHg)し,同時に頭痛,意識レベルの低下を認めたため,吸引分娩で娩出した(2850gの女児,Ap. S:9点).頭部CT,脳血管造影を施行した結果,尾状核出血脳室内穿破と診断された.直ちに両側脳室ドレナージを施行したところ意識レベルは速やかに改善し,片麻痺もほぼ完全に消失したため退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
249-249, 2001
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