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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩・産褥(7)
妊娠24週に腹腔内出血を来した1例


田中 利隆, 松尾 敦, 湯原 千治, 仁科 秀則, 中村 靖, 宮崎 亮一郎, 吉田 幸洋, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科


 妊娠中の急性腹症は原因疾患の診断が困難なことが多い.今回我々は,妊娠24週に子宮表在血管の破裂が原因と思われる腹腔内出血のため急性腹症呈した症例を経験したので報告する.症例:30歳0経妊0経産.妊娠15週で左卵巣チョコレート嚢胞の摘出術を施行した.その後の妊娠経過は順調であった.妊娠23週5日突然の腹痛を認めたため,急性腹症の診断で入院となった.胎児発育に異常なく,胎盤にも異常所見は認めなかった.腹部超音波断層検査で腸管の拡張像の他に腹腔内にecho free spaceを認めた.理学的所見及び腹部X-P検査からイレウスを疑い,補液等で保存的に経過観察とした.症状は改善されたがHbの低下が認められた.24週3日再度腹痛が出現し,その後母体の血圧低下(80/40),胎児持続性徐脈を認めた.超音波検査上,子宮右側に凝血塊と思われる腫瘤像認められ,母体腹腔内出血によるショックからnon-reassuring fetal statusを呈したと診断し緊急帝王切開術の方針とした.腹腔内には約1000mlの出血を認めた.出血は子宮表面の怒張した血管の破綻によるものであり,縫合止血した.児は884g男児で分娩後5日で死亡した.妊娠中の子宮・卵巣・卵管間膜血管の自然破裂による腹腔内出血は希であるが,大量出血によるショックから母体・胎児死亡を来すことがある.妊婦の急性腹症は鑑別診断として,腹腔出血も考慮に入れて対応すべきと思われるた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 250-250, 2001


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