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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(1) 人魚体シークエンスの一例
加来 建志1), 長田 久夫1), 関谷 宗英2), 石黒 洋3), 永井 雄一郎3)
千葉大学医学部附属病院産婦人科1), 千葉大学医学研究院生殖機能病態学2), 千葉大学医学研究院病態病理学教室3)
人魚体シークエンスは,両下肢の癒合と骨盤内臓器の奇形を特徴とし,尾部正中部の奇形症候群である尾部退行症候群(Caudal regression syndrome)の極型である.約6万から10万の分娩に対して1例と報告されている極めて稀な疾患である.高率に合併する腎低形成により羊水過少をきたすことが多く,胎児エコー診断に苦慮する場合が多い.今回我々は,出生前のMRI検査によって本疾患が疑われた1例を経験したので報告する.症例の母親は28歳,0G0P.既往歴,家族歴に特記すべきことなし.平成12年11月を最終月経月として妊娠,経過良好であったが,妊娠20週近医にて羊水過少を指摘され,胎児精査目的にて当科紹介となる.胎児エコーでは羊水ポケットを認めず,また膀胱ならびに両側腎を描出することができなかった.MRI検査では両側腎は欠損,膝関節は反転しているかごとくの所見であった.児は妊娠21週で死産となった.羊水は皆無で,児の体重は470g.両下肢は足首まで癒合し,前方に翻転していた.骨レントゲン所見では,下肢骨は左右正常長であったが股関節あるいは膝関節で180度回旋し,骨盤においては仙骨の欠損を認めた.解剖肉眼所見では,右腎臓は欠損,左腎臓は極度に萎縮,直腸は盲端に終わっていた.組織所見では,左腎臓は低形成で幼若な糸球体が散在性に認められ,腎異形性と考えられた.また骨盤正中部に小嚢胞が認められ,そこに異所性腎の像が確認された.尿管,尿道,膀胱組織は欠損,性器としては両側精巣が確認された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
256-256, 2001
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