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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))

【一般演題】
胎児・新生児(1)
出生前診断が困難であったZellweger症候群の一例


苅谷 卓昭1), 会沢 芳樹1), 吉田 典生1), 鈴木 廉三朗1), 飯田 智博1), 与那嶺 京子1), 田口 泰之1), 竹内 久清1), 林 和彦1), 石塚 文平2)
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学産婦人科2)


 先天異常児は多彩な症状を呈するが,疾患により類似した特徴を示すものがある.我々は既往出生児をMiller-Dieker症候群と疑っていたため,出生前診断でZellweger症候群を診断し得なかった一例を経験したので報告する.症例は27才1経産.前回妊娠は妊娠34週で子宮内胎児発育遅延,胎児仮死により緊急帝王切開術となったが,児は日齢18で死亡した.その特異的な顔貌や形態異常からMiller-Dieker症候群が疑われたが確定診断までには至らなかった.両親の染色体検査は正常であった.今回の妊娠では妊娠15週の羊水検査による染色体検査は正常核型を示し,さらにFISH法でMiller-Dieker症候群を否定できた.その後通常の妊娠管理を行い経過は順調で,胎児超音波検査でも特に異常は認めず,発育は良好であると評価していた.平成11年12月14日に妊娠38週3日で帝王切開術を施行した.児は女児で2450gの低出生体重児,前児と同様な無欲様顔貌であり口蓋裂などの形態異常がみられ,さらに強直性間代性痙攣が認められた.血液検査は肝機能障害を示し,あらためて鑑別診断を行うべく諸検査を施行したところ,染色体検査では診断できないペルオキシソーム病のZellweger症候群と診断された.児には極長鎖脂肪酸の蓄積を防ぐべく栄養療法が施行されたが,生後4ヶ月より汎血球減少が認められ,生後約1年で死亡した.Zellweger症候群は常染色体優性遺伝であり,前児も同疾患が推定された.この児の予後は不良である.染色体分析では診断できない先天異常児を想定する鑑別診断を行い患者夫婦の家族計画を配慮すべきと考える.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 256-256, 2001


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