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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(3) 摂食障害妊婦の管理中に生じた胎児の頭蓋内出血の一例
田村 直顕, 稲垣 誠, 定方 久延, 鈴木 康之
清水厚生病院産婦人科
胎児の頭蓋内出血は比較的稀な疾患である.今回我々は摂食障害にて入院管理中の妊婦に発症した胎児の頭蓋内出血を経験したので報告する. 症例:25歳,身長157cm,体重56kg.0経妊0経産.月経歴:周期36〜46日,不順.最終月経:平成12年1月4日.クロミフェン内服にて妊娠成立.既往歴:膜性糸球体腎炎(19歳〜23歳)家族歴:特記すべきことなし.平成12年2月25日(妊娠6週)より重症妊娠悪阻,脱水の診断にて当院入院.入院後維持輸液及びビタミン剤の投与を続けるも症状が改善されないため5月17日(18週2日)よりIVH管理となった.経過中食欲の増進は全くみられず,経口摂取は水分をごく少量摂る程度であった.胎児発育は正常範囲内で,羊水量も正常であった.NSTも妊娠34週までreactive patternであった.平成12年9月12日(妊娠35週2日)胎動自覚の減弱,超音波検査にて胎児頭蓋内出血の疑いあり,NSTにてsevere variable deceleration出現したため緊急帝王切開(小児科医立ち会い)施行.児は2426g女児,Apgar score1分後1点,5分後1点.外表奇形等確認されず.出生直後より蘇生が図られたものの,出生1時間15分後に新生児死亡となった.死亡後のCT検査にて硬膜下出血を確認した.胎児の頭蓋内出血の原因は不明であるが,管理中の輸液内にビタミンKが含まれていなかったことから,ビタミンK欠乏と頭蓋内出血との関連も考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
261-261, 2001
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