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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(4) 過去3年間に経験した臍帯下垂・脱出29例の検討
竹田 善治, 坂井 昌人, 中山 摂子, 高橋 祐子, 佐々木 康, 林 崇, 中林 正雄
総合母子保健センター愛育病院産婦人科
【目的】臍帯下垂・脱出は比較的まれな疾患であるが,児に対してはきわめて危険な状態である.そのため分娩前に診断することが望まれる.今回当科にて過去3年間に経験した臍帯下垂・脱出について検討し早期診断のための手がかりとしたい.【方法】1998年から2000年の3年間に,分娩終了時点で臍帯下垂あるいは臍帯脱出と確定診断された症例について,分娩週数,分娩時胎位,分娩前診断の有無,分娩方法,児の予後等について検討した.【結果】総分娩数3769例中,臍帯下垂・脱出は29例(0.77%)であった.正期産は23例(0.7%),早期産は6例(1.2%),分娩時胎位は頭位18例(0.5%),骨盤位10例(4.8%),横位1例(16%)であった.分娩前に経腹あるいは経腟超音波断層法にて診断されたものは16例(55%)であり早産の全例,骨盤位は1例をのぞき分娩前に診断された.しかし正期産頭位は3例(16%)しか診断されなかった.分娩様式は帝王切開20例,経腟分娩6例(鉗子分娩3例)であった.Apgar score6点以下の新生児仮死は6例(20%),3点以下の第2度新生児仮死は2例(7%)であった.児死亡は2例(7%)であった.【結論】従来から臍帯下垂のハイリスク群とされた早産や胎位異常については分娩前の診断がほぼなされていたが,正期産頭位についてはほとんどの例で分娩時のCTG異常所見から胎児仮死の適応で緊急帝王切開となり術中所見にて診断されていた.頭位の臍帯下垂は比較的まれであるが,分娩前の診断が困難であるので,CTGによる観察が重要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
262-262, 2001
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