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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
胎児・新生児(4) 母体,新生児搬送症例にみる地域医療連携の検討
加藤 佳代, 小林 信一, 渡辺 衣里, 鈴木 純子, 斎藤 一, 平野 孝幸, 前田 光士
都立荏原病院産婦人科
[目的]切迫早産の治療において,NICUを持たない分娩施設ではより切迫している早産症例などは母体搬送,あるいは分娩後の新生児を搬送せざるを得ない.しかしながら東京都内のNICUは常に病床不足の状態にあり,個々の症例の搬送施設への対応に苦慮する事も多い.都立荏原病院における切迫早産症例の管理方法と周産期施設への母体・新生児搬送の現状について検討した.[方法]1994年10月の再開院時より2001年3月までの切迫早産症例を対象とし,そのうち治療効果が認められない妊娠32週未満の症例や,子宮内胎児発育遅延や胎児奇形などを合併する症例を母体搬送の適応とした.搬送施設は東京都母子保健センターより提供される周産期施設の空床状況の情報を受けて,近隣の周産期施設に直接依頼した.新生児搬送については小児科の担当医と協議して個々の症例に対応した.[結果]対象期間において入院を必要とした切迫早産症例は238症例(月平均7.5症例)であり,そのうち母体搬送症例は75症例あり,分娩後の新生児搬送症例は55症例であった.休日や夜間の症例及び胎児仮死,急激な母体合併症の変化等により,突然に母体あるいは新生児搬送を必要とする症例ほど搬送施設の決定に苦慮する事が多いという事実が存在した.[結論]東京都内のNICUは常に病床不足の状態であり,緊急を必要とする母体・新生児搬送の場合に搬送施設への対応に苦慮する事が多い.周産期医療システムの一層の充実を図る上で,地域として診療体制の再検討が必要であると示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
263-263, 2001
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