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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
遺伝 22番染色体微細欠失を伴ったVACTERL連合の1例
青木 茂, 瀬戸山 琢也, 橋本 栄, 淺見 政俊, 平吹 知雄, 山中 美智子
神奈川県立こども医療センター産科
VACTERL連合とは胎生期の中胚葉分化異常により発生し,椎骨異常,鎖肛,心奇形,食道閉鎖を伴う気管食道瘻,腎尿路系異常,四肢異常のうち3種以上を同一個体に認める奇形連合である.今回我々は,22番染色体微細欠失を伴ったVACTERL連合の1例を経験したので報告する.症例は32歳,1回経妊0回経産.妊娠25週3日,脊椎の変形,肺低形成にて近医より紹介受診.当院の精査超音波検査にて胸椎レベルでの脊椎の高度な変形,それに伴う胸郭低形成,両側橈骨低形成,心奇形(大血管転位症),後頭部の浮腫などの所見が認められた.羊水染色検査の結果は46,XYであった.胸郭低形成による肺低形成が疑われ,さらに心奇形もあるため予後不良と推定された.以上の結果をご夫婦に説明し,同意を得た上で児の脊柱変形による母体産道への影響を考慮して,妊娠36週にて誘発分娩の方針とした.妊娠36週2日経膣分娩となり,児は2306gの男児,Apg 4点(1分)であった.呼吸不全により出生後50分で死亡.児の剖検を施行し,脊柱の高度変形,肺低形成,心奇形(両大血管右室起始,肺動脈狭搾,心室中隔欠損,心房中隔欠損,左上大静脈遺残,右大動脈弓),両側橈骨欠損,鎖肛,右横隔膜欠損,鼠径ヘルニアなどがみられ,VACTERL連合と考えられた.また,22番染色体微細欠失でしばしば観察されることの多い心奇形である両大血管右室起始がみられたため,FISH法を行ったところ22番染色体微細欠失が確認された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
264-264, 2001
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