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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
内分泌 ホルモン補充療法により子宮留血腫を生じた一例
大石 曜, 大島 教子, 大津 礼子, 望月 善子, 稲葉 憲之
獨協医科大学産婦人科
近年,本邦においてもホルモン補充療法(HRT)を希望する婦人が増加している.今回,子宮膣部円錐切除後の膣閉鎖症症例にHRTを施行し約1年後,急激に子宮留血腫を生じ子宮全摘術を要した症例を経験をした. 症例は61歳,2経妊2経産.閉経49歳.既往歴:平成8年3月 繰り返す頚管炎のため膣上部が癒着,前医で膣内癒着剥離術および子宮頚部細胞診でclass IIIbの既往があったため子宮膣部円錐切除を施行.病理組織では軽度異形成の診断であった.同10月には再度膣上部癒着,エストリール療法を開始.現病歴:平成10年2月,性行為不能の訴えで当院初診.内診上性交は十分可能と診断.以降,当院中高年外来でフォローするも不定愁訴の訴えあり,平成12年4月よりホルモン補充療法(プレマリン,ヒスロン)開始.平成13年2月,下腹痛を訴え他院受診するも異常所見なし.3月13日腰痛も出現し当院受診,超音波検査で約10cmの血液貯留を疑う内部エコーも持つcystic massを認め子宮留血腫を疑った.MRIでは4×2.5cmの子宮体部の下方に8.5×7cmの子宮頚部から膣上部が連続して拡張したダルマ状の腫瘤形成をしていた.下腹部痛,腰痛が持続するため緊急開腹,単純子宮全摘術,両側付属器切除術を施行.子宮内には350ccのチョコレート様の血液が貯留,子宮内腔には所見なし.膣壁は約3cm切除されており,膣入口からは盲端に終わっていた.病理組織では悪性所見を認めなかった. 膣癒着症例への初期治療に対する反省,又その後のHRT施行時の稀な留意点を報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
268-268, 2001
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