|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
子宮内膜症 卵巣チョコレート嚢胞のため緊急手術を要した8例の検討
姜 賢淑, 今井 公俊, 依藤 弘志, 甲田 平吾
静岡市立静岡病院産婦人科
産婦人科外来診療において,卵巣チョコレート嚢胞合併の子宮内膜症に遭遇する頻度は近年増加傾向にある.卵巣チョコレート嚢胞が存在しても,そのサイズが径4〜6cm以下であれば,外来で経過観察となる.今回我々は,径7cm以下の卵巣チョコレート嚢胞にもかかわらず,緊急手術を要した8症例を経験したので報告する.[対象]当科において,1997年〜2001年6月の5年間に,径5cm大の卵巣チョコレート嚢胞の破裂(6例)・感染(2例)のため緊急手術を要した7例を対象とした.[結果]1.破裂6例 年齢は23〜43歳,主訴は全例が下腹部痛で急性腹症を呈していた.経膣超音波上での嚢胞は全例とも径4〜5cm大で,WBC上昇は5例,CRP上昇は2例で認めた.術前診断は4例が卵巣チョコレート嚢胞破裂,2例が子宮外妊娠破裂,1例は卵巣嚢胞茎捻転であった.術後診断は病理診断も含め卵巣チョコレート嚢胞破裂で,期別分類(R-AFS)はIII期2例,IV期4例であった.2.感染2例 平均年齢は25.5歳,主訴は不妊治療中の発熱が1例,産褥8日目の下腹部痛・発熱が1例であった.内診でのダグラス窩に圧痛を伴う腫瘤触知,38〜40℃の熱発,WBC・CRP上昇の全てを2例ともに認めた.経膣超音波上,嚢胞はそれぞれ5cm大と7cm大であった.術前診断は卵巣チョコレート嚢胞に発生した卵巣膿瘍であり,術後診断も同様であった.期別分類(R-AFS)はそれぞれIII期とIV期であった.[結論]卵巣チョコレート嚢胞のサイズが小さい場合でも,破裂や感染が起こる可能性も念頭に置いて日常診療に携わる必要性がある,と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
271-271, 2001
|