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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠(1) 腹腔鏡下子宮外妊娠手術に回収式自己血輸血を施行した1例
渡辺 慎一郎, 内出 一郎, 浅川 恭行, 中熊 正仁, 前村 俊満, 森田 峰人, 久保 春海
東邦大学医学部第1産科婦人科
症例は28歳の女性で2経妊,2経産.下腹部痛を訴えて来院した.妊娠反応は陽性であったが,月経不順のため妊娠週数は不明であった.来院時経腟超音波断層検査で子宮内に胎嚢様エコー像を認めず,ダグラス窩に約5cmのエコーフリースペースを認めた.Hb濃度は9.8g/dlとやや低下を認めたが全身状態は安定していたため,入院による経過観察とした.入院後2日目にHb濃度が6.7g/dlへと急激な低下を認めたため,子宮外妊娠の診断で緊急腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内の観察では右卵管からの持続する出血と腹腔内に貯留する大量の出血を認めたため,まず腹腔鏡下右卵管切除術を施行した.腹腔内出血はおよそ1500mlに達しており,これを回収式自己血輸血装置にて回収し,約800mlを術中に返血した.術直後のHb濃度は8.3g/dlであったため,術後は無輸血で経過観察し,全身状態良好のため術後5日目に退院した.大量の出血を伴う緊急の腹腔鏡下手術においても回収式自己血輸血は有用であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
272-272, 2001
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