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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠(1) 帝王切開分娩時に発見された内外同時妊娠の一例
古川 真希子, 高見 毅司, 正岡 直樹, 栃木 明人, 山本 樹生
日本大学医学部産婦人科(板橋病院)
今回我々は内外同時妊娠で生児を得た,非常に稀な症例を経験したので,これを報告する.症例は38歳10回経妊4回経産.16歳,22歳時に経腟分娩,28歳,32歳時に帝王切開分娩で児を娩出している.平成12年9月26日を最終月経とし,前医にて妊娠と診断.妊娠6週,20週時に切迫症状を認め,前医にて入院加療を行っている.平成13年4月2日(27週1日)腹緊と共に破水感を認め,当院母体搬送となった.来院時,経腹エコーにて前回術創部の子宮壁厚の菲薄化と,同部位の疼痛を認め,切迫子宮破裂の診断にて帝王切開となり,832gの男児を娩出した.その際,左卵管膨大部に鶏卵大で弾性硬の腫瘤を認め,これを含めて左卵管切除術を施行した.左卵管の腫瘤内腔は,肉眼的に黄褐色を呈し,乳頭状の隆起性病変を認めた.病理組織診断で卵管は全体的に出血性壊死を呈し,好中球を主体とした炎症細胞浸潤を認め,さらに腫瘍の一部にTrophoblast様の細胞を認め,hCG免疫染色陽性であった.よって,本症例は子宮内及び左卵管膨大部の内外同時妊娠であると診断した.本症例は,卵管膨大部妊娠が恐らく妊娠初期に不全流産となり,残存した胎児部分が残ったものと思われる.自然妊娠による内外同時妊娠は10万例に1例と非常に稀であるが,ARTの普及により,その頻度は増加した.妊娠初期の異常では,内外同時妊娠の可能性も考慮し,検索を行う必要がある1例であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
273-273, 2001
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