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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))

【一般演題】
子宮外妊娠(2)
Methotrexate(MTX)局所投与により子宮温存し得た頚管妊娠の一例


大熊 克彰1), 野坂 啓介1), 木口 一成1), 近藤 俊彦1), 井橋 俊彦1), 徳山 真弓1), 岩田 正範1), 堀越 裕史1), 栗林 靖1), 佐賀 正彦1), 藤脇 伸一郎2), 石塚 文平2)
聖マリアンナ医科大学東横病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学産婦人科2)


 頚管妊娠は突然の出血を伴い,保存的治療が必ずしも奏功しない希有な疾患である.今回,妊娠初期に診断し,MTX局所投与が有効で,子宮温存し得た症例を経験したので報告する.【症例】37歳,未妊未産.無月経4週2日に初診.尿妊娠反応陽性.経膣超音波検査(TVS)で子宮内に胎嚢(GS)を認めなかった.妊娠5週2日のTVSで子宮内にGSを認めず,血中HCG 4,536mIU/mlと高値で,子宮外妊娠を考慮し入院管理.また胸部X線検査で異常陰影は認めず.妊娠5週5日にTVSで子宮頚管にGS,卵黄嚢と心拍動陽性,またMRIで頚管に高信号を認め,頚管妊娠と診断し,本疾患のMTX投与による保存的治療に対するインフォームド・コンセントを夫婦より得た.そこで,まず全身療法として,妊娠6週0日からMTX20mg/body/dayを4日間筋注したが,血中HCG 22,000mIU/mlと上昇し,心拍動陽性持続するため,MTX局所投与による治療変更を説明し同意を得た.妊娠6週5日にTVSガイド下にMTX30mgをGS内局注し,心拍動消失を確認した.さらに,妊娠7週4日に2回目のMTX20mg局注した直後より,断続的な性器出血が認められた.妊娠8週5日に3回目のMTX20mg局注した結果,血中HCG 723mIU/mlと低下したので,妊娠9週3日に膣式両側子宮動脈下行枝結紮術と子宮経管内容除去術を施行した.病理組織診断で変性壊死を伴う絨毛組織を認めた.術後9日に血中HCG 7mIU/mlと低下したのを確認し退院した.その後,性器出血は少量断続的に持続したが,術後23日に血中HCGは陰性化し,術後47日より初回月経開始し,現在順調に経過している.【結語】頚管妊娠の早期発見例に対しては,比較的低侵襲性のMTX局所投与が,保存的治療法として有効であることが示唆された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 275-275, 2001


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