|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
その他 子宮内膜症を合併した骨盤内膿瘍の検討
佐野 麻利子, 薪田 も恵, 島絵 美里, 田中 美香, 田嶋 敦, 薄井 直樹, 町田 正弘, 久保田 武美
順天堂大学浦安病院産婦人科
【目的】子宮内膜症性嚢胞に感染が生じると,卵巣膿瘍,あるいは卵管卵巣膿瘍になりやすい.このような症例の誘因,検出菌,使用抗生剤,術式を把握することを目的とした.【対象】1984年より2001年までの期間に,当院で入院,治療を行った子宮内膜症性嚢胞に合併した膿瘍の8例であった.【結果】誘因が推定できた例は,既往における試験開腹時の汚染1例,経腟穿刺開腹時の汚染1例の計2例であり,他の6例は原因不明であった.なお,性感染症と合併した例はなかった.検出菌は,大腸菌検出例が4例で一番多かった.使用抗生剤は,各種広域抗生剤が使用されたが,抗生剤のみで治療しえた症例はなく,全例に排膿処置を要した.術式としては,開腹病巣摘除兼ドレナージ例が5例,経腟穿刺のみの例が2例,経腟穿刺後腹腔鏡下病巣摘除例が1例であった.GnRHaによる治療が普及した年代以降では,開腹ドレナージによる治療法だけではなく,経腟超音波下穿刺で排膿後,GnRH療法を併用して治療できるようになった.【考察】経腟超音波下穿刺による排膿時においては我々は下記の4点に留意するとよいと考えられた.1)子宮内膜症性嚢胞の内容液は細菌発育にとって好都合な培地といえるので,子宮内膜症が再発するに比例し 感染の再発の危険が増大する.このため,早めにGnRH療法を開始すること.2)初回穿刺後,必要に応じて排膿を繰り返すこと.3)起因菌判明前は,大腸菌に抗菌力を示す広域抗生剤を使用すること.4)穿刺する際は,腹腔内への膿の漏出を防止するためダグラス窩に陥入している症例を選ぶこと.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
280-280, 2001
|