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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
その他 当教室における膣脱手術に関する検討
高荷 理子, 西口 富三, 竹内 康高, 高田 佳世子, 内田 季之, 大橋 涼太, 北村 公也, 小林 隆夫, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
[目的]子宮摘出後の膣脱に対するRandol-Nicholas法(仙棘靱帯固定法)ならびにWilliams-Richardson法(腹直筋膜弁吊上げ法)における短期・長期予後について検討した.[対象]昭和63年から平成13年において当院で経験した子宮摘出後膣脱症例10例(53−74歳)である.内訳は,Nicholas法5例(ATH後4例,VTH後1例)Williams-Richardson法5例(ATH後2例,VTH後3例)である.尚,手術にあたっては随時膣壁形成術を併せて施行している.これらの症例において,経会陰超音波断層法による術前後の尿道膀胱形態を比較するとともに,排尿障害ならびに再発率について検討した.尚,追跡期間は術後2ヶ月から3年である.[結果]両術式における術後入院日数は平均14日.排尿障害については,術前はいずれの症例も尿禁制であったが,術後早期に新たに失禁が出現した症例が2例(尿道活約筋不全型type3)あった.2例のうち1例は,超音波断層法による術前評価では(仰臥位)膀胱頸部の開大は明らかではなかった.他の症例においては排尿障害はみられず,超音波断層評価でも術後の膀胱頸部可動性0.5cm未満,PVU角(怒責時)120度未満と良好な成績であった(n=6).再発例は1例(Williams-Richardson法施行例)みられたが,本症例は気管支喘息,両側股関節骨置換術の既往を有する症例で,膣壁の極度の菲薄化がその一因と思われた.[考察]両術式はともに有用な術式であるが,術後に新たに尿失禁をきたす症例もあることより,術前における尿道膀胱頸部の評価が肝要であることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
281-281, 2001
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