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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
子宮体部腫瘍(1) 子宮体部原発の悪性リンパ腫を術前に診断しえた一例
小野寺 成実1), 春日 美智子1), 岸 郁子1), 秋葉 靖雄1), 小西 康弘1), 中野 眞佐男1), 木口 英子2)
済生会神奈川県病院産婦人科1), 済生会神奈川県病院病理2)
節外性悪性リンパ腫のうち女性生殖器に原発するものは稀であり,大部分は膣または子宮頸部より生じる.一方,子宮体部原発の悪性リンパ腫は英文での報告が約20例しかない極めて稀な疾患である.症状は非特異的で閉経後の出血,腹部あるいは骨盤内の異和感,または腰痛であり,術前に通常の検査で診断されることはほとんどない.今回我々は,術前に子宮体部原発の悪性リンパ腫を予測しえた症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は,83才女性,肝細胞癌および肝硬変にて経過観察中,画像上子宮腫大を指摘され当科受診.子宮は年齢と比較して腫大し,子宮腔内には血性の分泌物が充満していた.子宮内膜細胞診および内膜生検の免疫染色の結果,子宮体部の悪性リンパ腫が疑われた.CTおよびMRI検査の結果,頭部から骨盤内にリンパ節腫大を認めなかったため,子宮体部原発の悪性リンパ腫であると予側し,腹式子宮全摘術および両付属器切除術を施行した.術後の病理組織学的診断にて,子宮体部のびまん性,中間細胞型のB-cell dominantの非Hodgkinリンパ腫と判明し,左卵巣に一部浸潤が認められた.本症例では,患者が高齢で肝細胞癌を合併し,performance statusが不良であることを考慮し,術後の追加療法を施行しなかった.非Hodgkinリンパ腫は化学療法や放射線療法に対して感受性の高い腫瘍であり,予後予測に基づいて適切な治療計画のもとに治療を進めることが重要である.子宮体部の悪性リンパ腫を早期に診断し治療法を選択する上で,子宮内膜細胞診および内膜生検の免疫染色による検査が肝要であることが示唆される.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
283-283, 2001
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