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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
子宮体部腫瘍(2) MPA療法と子宮内膜全面掻爬で寛解し,子宮温存が可能となった異型内膜増殖症の1例
岡本 真知, 住友 和子, 沼崎 令子, 近藤 芳仁, 柳澤 隆, 飛鳥井 邦雄
横浜南共済病院産婦人科
近年,子宮温存を必要とする若年婦人の子宮内膜癌やその前癌病変に対する初回治療法のひとつとしてホルモン療法が行われている.われわれは,未経妊で,若年発症の異型内膜増殖症で子宮温存を必要とした患者に対して酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)療法と子宮内膜全面掻爬が奏効したと考えられる1例を経験した.症例は24才.未経妊.平成12年8月17日,下腹痛を主訴に近医を受診し超音波検査にて子宮内に腫瘤を認めた.8月18日,精査加療目的に当院を紹介され受診した.当院初診時超音波検査にて子宮内に径約6cmの腫瘤を認めた.子宮内膜細胞診class1,子宮内膜組織診にて,子宮内膜異型増殖症の疑いとの診断を得た.9月7日,確定診断および治療を目的として子宮内膜全面掻爬術を施行し,子宮内膜異型増殖症と診断された.免疫組織学的にER,PRを検索したところ陽性所見が見られた.MRIにても,浸潤癌を疑う所見はなかった.未婚であり,妊孕性を保存するため子宮温存の方針とし,月1回の子宮内膜全面掻爬術を施行し(計7回施行),さらに11月9日よりMPA400mg/日の内服を開始した.平成13年3月29日より,MPAを600mg/日に増量した.4月19日の子宮内膜組織像は,腺細胞の萎縮のみを認めた.6月MPA内服を中止した.現在,毎月子宮内膜細胞診,および子宮内膜組織診を行っているが再発兆候を認めていない.以上,若年者の子宮体癌に対して妊孕性やQOLを考慮して,保存的に内膜掻爬とホルモン療法を行い効果を得た1例を経験したので報告した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
285-285, 2001
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