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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍(1) CAP療法後に再発を来した未分化胚細胞腫(以後Dysgerminoma)の1例
種元 智洋1), 石渡 巌1), 上田 和1), 橋本 朋子1), 和知 敏樹1), 斎藤 絵美1), 高梨 裕子1), 小林 重光1), 神谷 直樹1), 安田 允1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学産婦人科2)
Dysgerminomaは化学療法,放射線療法の感受性が高い卵巣腫瘍である.今回我々はCAP療法5コース終了後に再発を来した症例を経験したので若干の考察を加えて報告する.(症例)21才,0妊0経産.平成9年8月,他院で急性腹症のため,緊急手術を施行.開腹時,左卵巣原発の破綻した腫瘍を認めた.その他に明らかな所見はなく,左附属器摘出術が施行された.病理診断はDysgerminoma(pT1cNxMx)であった.その後,9月当院を紹介され受診,外来で経過観察を行っていた.平成10年11月腹痛が出現し,CT,経腹超音波にて膀胱子宮窩に96×71mmの充実性腫瘤を認め,LDHも767IU/Lと上昇したため,Dysgerminomaの再発と診断し,再手術となる.開腹時,腹腔内に腫瘍が多発し,残存した右卵巣にも約5mmの腫瘍を認めたため,子宮全摘術,右卵巣楔状切除術,大網切除術,骨盤内リンパ郭清術を施行した.病理診断Dysgerminoma recurrence骨盤内リンパ節転移(+)であった.術後8日目よりCAP(CPM 300mg,Epi-ADM60mg,CDDP 75mg/body)療法を3週毎に5コース施行した.CAP療法終了時には,再発,転移の所見は見られなかった.治療後経過観察をしていたが,平成12年9月に腹水の貯留を認め,LDHも408IU/Lと上昇したため,再発を疑い手術を勧めた.しかし,手術を拒否し,以後来院しなかった.平成13年3月再受診時,臍高までに及ぶ充実性の腫瘍を認め,血性胸水を認め,胸水細胞診はclassVであった.平成13年4月10日,腫瘍摘出術施行.術後PVB(day 1:CDDP50mg/m2,VLB0.2mg/kg,BLM15mg/body,day8,15 BLM15mg/body/4W)療法を施行中であり,現在胸水貯留もなく,経過良好である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
288-288, 2001
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