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<< 学会誌へ戻る 卵巣腫瘍の一部には特に粘液性腫瘍においてエストロゲンを産生することが知られている．今回我々は，ER陽性乳癌を合併し，術前の血中E2が高値を示した卵巣明細胞腺癌の1例を経験したので報告する．【症例】症例は70歳，2経妊2経産の主婦．閉経は56歳で既往歴，家族歴に特記すべきことなし．不正出血を主訴に他院受診し，子宮内膜の肥厚を指摘され紹介受診となった．内診所見として子宮は超鶏卵大，子宮後方に超手拳大の腫瘤を触知した．超音波上子宮内膜は25mmと肥厚し，腹水貯留も認められた．子宮膣部擦過細胞診は陰性，内膜細胞診は擬陽性で，内膜組織診は複雑型内膜増殖症であった．腫瘍マーカーはCA125：134，CA19−9：81 U/mlとやや高値を示し，また血中E2は56pg/mlであった．画像上悪性卵巣腫瘍が疑われたため手術目的で精査加療目的で入院．腹水細胞診は陽性，adenocarcinoma，また入院中に左乳房に腫瘤を自己触知し乳腺外科にて精査した所乳管癌と診断された．以上より乳癌合併卵巣癌の診断にてまず腹式子宮全摘出術，両側付属器切除術，大網切除術及び骨盤内リンパ節廓清術を施行した．病理診断は右卵巣明細胞腺癌で被膜外進展は認めず，リンパ節転移も認めなかった．子宮内膜には内膜増殖症を認めた．術中腹水細胞診は陽性であった．E2は術後陰転化を認めた．2週間後に非定型乳房切除術を施行し，病理診断は乳管癌でリンパ節転移は認めず，ER陽性であった．4週間後よりTJ療法を開始し，現在4コース終了しているが現在の所，再発徴候は認めていない． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3) 291-291, 2001 |
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