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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍(2) チョコレート嚢胞経過観察中に発症した卵巣癌の2症例
佐藤 尚人1), 竹井 裕二1), 大和田 倫孝1), 鈴木 達也2), 高野 貴弘1), 町田 静生1), 小菅 周一1), 鈴木 光明2), 佐藤 郁夫1)
自治医科大学産婦人科1), 自治医科大学大宮医療センター婦人科2)
卵巣チョコレート嚢胞の約1%が悪性転化するといわれている.我々は,卵巣チョコレート嚢胞の診断で外来経過観察をしていた症例で,卵巣癌が発生した症例を経験したので報告する.症例1:50歳,2経妊0経産.1996年12月左下腹部痛を主訴に当科初診.左卵巣腫瘤3×4cm.チョコレート嚢胞の診断で外来にて経過観察となった.1999年7月,腫瘤は7×6cmに増大し,かつ充実性部分の合併を認め,CA19−9:223U/ml,CA125:52U/mlと高値を示したため,9月手術施行.術中診断にて腺癌であったため,根治手術を施行した.類内膜腺癌,Ic期であった.症例2:45歳,0経妊.1999年8月,卵巣腫瘍の疑いで当科紹介受診す.右卵巣腫瘤4×4cm.チョコレート嚢胞の診断のもとに外来経過観察となった.2001年4月,腫瘤は13×12cmに増大,かつ充実性部分の合併を認め,CA19−9:147U/ml,CA125:50U/mlと高値を示したため,5月手術施行.低分化腺癌,IIc期で根治手術が施行された.以上の2症例は,2〜3年の外来経過観察中に悪性化をきたしたものと考えられた.チョコレート嚢胞は小型のものでも,悪性腫瘍が発生する可能性があることを考慮すべきと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
291-291, 2001
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