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第102回学術集会(平成13年10月21日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍(3) 初回手術後9年を経過して肝転移で再発したSertoli cell tumorの一例
櫻井 麻美子, 中澤 禎子, 金枝 貴史, 早川 智, 坂元 秀樹, 山本 樹生
日本大学板橋病院産婦人科
Sertoli cell tumorは卵巣腫瘍の約0.5%に発生する稀な疾患であり,病理組織学的分類では中間群に属する.今回我々は初回手術後9年目に肝転移で再発した一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は38歳2回経妊1回経産.平成3年12月に下腹部腫瘤感を自覚し,平成4年1月に他院で左付属器切除術を施行した.組織診断はSertoli cell tumor中間型であった.平成7年10月に自然妊娠が成立し,平成8年8月経膣分娩により生児を得た.妊婦検診中より右卵巣腫瘤を指摘されていたため,平成8年9月精査加療目的で当院を受診し,右卵巣腫瘤の診断で右卵巣腫瘤切除術を施行した.組織診断はSertoli cell tumor中間型であった.以降,定期的な外来通院を行っていた.内診,経膣超音波診断上骨盤内に明らかな腫瘍を認めず,また腫瘍マーカー,テストステロンの異常及び男性化徴候も認められなかった.平成13年2月急激な上腹部痛が出現し,当院外科に緊急入院となった.原発性肝癌の診断で平成13年4月肝右葉切除術を施行した.組織診断はSertoli cell tumor metastatic in liverであり卵巣からの転移を疑い,当科で4月よりCAP療法を開始した.Sertoli cell tumorは中間群であっても,長期間にわたる全身検索を含めたfollow upが必要であることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 38(3)
294-294, 2001
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